2023年度オリジナルカレンダー作品解説(前編)
こんにちは、さやかです。
今日はオリジナルカレンダーUnderwater Travel Calendar2023に掲載した作品の解説をしたいと思います。
2022年度版は価格設定なし(無料でもok)にて配布し、多くの方にお求めいただきました。
現在販売中の2023年度版もあと少しで完売する予定で今更で申し訳ないのですが、楽しんでいただけたらと思います。
本記事ではかなり画質を落として掲載しております。
カレンダーを購入していただいた皆様よりもタダで見られるこちらの方が画質が良いのはちょっと変かな、と思いまして。
カレンダーは私のオリジナルネットショップにて購入いただけます。
→ https://sayakaichi.official.ec/items/66558586
本HPのメニューの「SHOP」からもネットショップに飛べます
構成
やはり写真作品を見て欲しいので、大きめの写真は欠かせないです。
当初、大きい写真だけ片面印刷にしようと(予算的に)考えていたのですが、大きい作品のみでいいなら壁掛けカレンダーの方が絶対いいんですよね。作品観賞用の要素が強いなら。
やはり卓上カレンダーの良さを最大限に引き出したい、デスクの傍らで実用的な物でなくては、という想いが強くお値段張りますが、両面印刷にしています。
元々会社員でスケジュール管理をする上で卓上カレンダーはなくてはならない物だったのと、機能性のないものを狭い部屋に置いておくのがとても苦手なので、自分の苦手なものを人様に自信を持って売るなんてできない!と思ってこの仕様になりました。
半分くらいは私の我儘です
自分でもこのカレンダーはスケジュール管理用に使っています。
表紙
表紙のタイトルは「Glittering Juvenile Octopus」
ミズダコの幼体です。函館で撮影しました。
2021年中にInternational Photography Awardsなどで数多くの賞をいただいた作品です。
実は2022年版の中にも掲載されています。
タコというとこんな姿を想像し、まさか幼体がこんなに透明でしかもラメを散りばめたようにキラキラしているとは思わないでしょう。
私も撮影するまで全く知りませんでした。撮影している時でさえここまでとは気づいていませんでした。撮影中はとにかく可愛いと思いながら夢中で撮影していました。いろんな風に撮ってみたい。
あとからPCの画面で、キラキラすぎる姿にびっくりしました。
1月
1月のタイトルは「Atka mackerel’s father」
ホッケのお父さんがイトマキヒトデを遠くに運ぶ姿です。実は2022年版には別の個体がフサトゲニチリンヒトデを運ぶ姿を掲載しています。もちろん私がめちゃくちゃ気に入ってる写真ではあるのですが、リピーターの方に1月の写真をシリーズとしてみてもらえたら楽しいかな、と思って掲載しました。
ホッケは12月〜1月頃に抱卵し、卵が孵化するまでオスが育てます。何箇所かに複数のメスの卵があります。
ホッケのパパは順繰りに優しく口でハムハムしながら卵に水を送り込むサッキングをしたり、外敵を駆除したりします。
この写真はちょうど外的であるイトマキヒトデが卵の近くに来ていて、それを察知したホッケパパがヒトデを咥えて卵から離れた場所に捨てに行くところを捉えたものです。
意外と知られていないのですが、ヒトデは肉食寄りの雑食性です。素早く逃げたりしない卵は格好の栄養源なのです。
2月
2月のタイトルは「Isla Socorro」
オニイトマキエイとして知られるジャイアントマンタ。メキシコのソコロ諸島で撮影しました。
メキシコのバハカリフォルニア州のラパスからクルーズ船で24時間以上南下したところにある島です。
写真自体はかなり前のものですが、ダイバーとマンタのポーズがシンクロしているのが好きな写真で、海の中が楽しい!っていう感じがお気に入りです。
何気にマンタ3枚が収められてます。
ソコロ諸島のマンタはとても人懐っこいことで有名です。
ダイバーが海に入ったときがマンタがいなくても10分ほどすると、どこからともなくマンタがやってきて私たちの周りで遊んだり、エアを浴びにきたり、人に向かって突進してくる個体も多くいます。
今はソコロ諸島は世界自然遺産に登録されています。
3月
3月のタイトルは特に考えていませんが、敢えてつけるとしたら「星降る瞳」ですかね。
フタスジカジカという魚の正面顔です。知床で撮影しました。
注目していただきたいのは角膜にあるキラキラの模様です。
カジカ類では目に偏光の模様があることは珍しくはないのですが、フタスジカジカのように細かく散りばめたような瞳は他では見ることができません。
フタスジカジカに特徴的な目だと思います。こんな素敵な目なのに、なぜフタスジなどというとても普通の名前をつけたのか不思議です。
もっとかっこいい名前つけてあげられなかったんだろうか…と思わずにいられないほど、ロマンチックな瞳です。
北海道でもかなりのレア生物な上に、お顔の模様も色鮮やかで個体としてもかなり美形の部類だと現地のガイドさんから伺いました。ラッキーでした。
4月
4月のタイトルも特に考えてはいないのですが、「Splash」でしょうか。
静岡県西伊豆町の田子で撮影しました。
田子のダイビングポイント・フトネにある龍の首と呼ばれる隠れ根です。
赤や紫のソフトコーラルがモリモリしており、大量のキンギョハナダイが乱舞していました。
キンギョハナダイは伊豆ではそこかしこで見かける魚で珍しいわけではありませんが、ここまでたくさんの鮮やかなオレンジ色の魚がいるととても賑やかで見ているだけで心が浄化される気持ちになります。
この豪華絢爛な龍の首をお見せできるのはもう写真だけしかないのがとても残念です。
2021年時点では龍の首のソフトコーラルは戻っていませんでした。今年は行けていないのでわかりませんが、たぶんまだでしょう…
田子は下記の記事でも紹介しています。
5月
5月のタイトルは「Hide and Seek」です。
京都の鴨川に生息するオオサンショウウオ(ハイブリッド種)です。
日本固有のオオサンショウウオは国の天然記念物となっており、許可なく移動させたり、危害を加えると犯罪行為となります。つまりお触り厳禁ということです。
ですが、京都のオオサンショウウオは日本固有のオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオ(駆除の対象)との交雑が進んでおり、ハイブリッド(雑)種が多く見つかります。
チュウゴクオオサンショウウオは気が強く、活発な性格のため成長スピードが速く、日本固有種を脅かす存在でもあります。
素人目ですと日本固有種と区別することが難しいことや、万一誤って日本固有種を駆除・移動した場合、法律に触れてしまいお縄になってしまうことも考えられるため、固有種を保護するのはかなり難しいではと考えられています。
この個体もそういった難しい背景を持つ1匹です。しかし生きていることに罪はないのです。罪があるとすれば、安易に外来種を野に放してしまった人間の方ではないでしょうか。
思うところは色々ありますが、このぷくぷくのお手手は間違いなく可愛いです。そして可愛いは正義です(ね?)
6月
北海道積丹の水中柱状節理です。こちらも特にタイトルはないのですが、2022年に撮影した最新作の柱状節理です。
柱状節理は火山から出たマグマが急激に冷える中でも比較的ゆっくり冷える部分でできる割れ目のようです。(ややこしい)
沖縄でも水中に柱状節理がありますが、もっと柱自体が大きく、(大きいから?)ハニカム構造も不揃い(のよう)に感じます。
世界中にある柱状節理を見ていて気が付いたのですが、寒い地域の柱状節理は比較的細い柱になることが多いように思います。調べてみたら、時間をかけて冷えると太い柱になるということだったので、寒い地域では細くなりやすいのだと思います。
今年は天候や透明度にも恵まれかなり良い状態で海に入ることができたので、多少離れた部分もしっかり描写できました。これでも全体の半分以下しか見えていないのですが、ここが最もハニカム構造が美しいと感じます。
私は地形ポイントを好んで潜る方ではないのですが、ここは毎年必ず来たいと思う場所です。
こちらの記事でも柱状節理を題材にしています。
構図法に頼らない!?言語化が鍵 ~水中写真上達への道のり vol. 7
PADI Divemaster #832577 ダイビング✖️写真✖️旅 = 世界の海・自然と人と人と社会を繋ぐ 言語・距離・文化の壁、全部越えて、 もっと自由に、もっと楽しく、 興奮と感動と癒しの海への扉となることを目指します。