冬の北海道でダイビング!vol. 4 ダンゴウオ科 魅惑のまんまるボディ

冬の北海道でダイビング!vol. 4 ダンゴウオ科 魅惑のまんまるボディ

2022-01-12 0 投稿者: Sayaka

こんにちは、冷たい海を愛してやまない、さやかです。
2022年最初のブログは昨年から続いている北海道シリーズです。

冬の北海道のアイドルといえば ナメダンゴ ですね。雪降る頃から夏前までがダンゴウオ科の観察が楽しい季節です。

 

本州、特に太平洋側でダンゴウオといえば、スライムみたいなグミみたいな生物を思い浮かべるかと思いますが、実は北海道ではそのタイプを見ることはできません。

その代わり、それとは異なる3種類以上のダンゴウオ科を観察することができます。

 

今回はまんまるボディにまんまるお目目が可愛いダンゴウオたちをご紹介いたします。

※生物に関しては私もまだまだ勉強中ですので、間違っていることがあれば教えてください。

ダンゴウオとは

ダンゴウオは英語でLumpfishとかLumpsuckerと呼ばれます。Lumpは照明のランプではなく「かたまり」「こぶ」「ずんぐりした」という意味で、Suckerは吸盤でくっつく魚の総称です。ダンゴウオのお腹には吸盤があり、その吸盤で海藻や岩などにくっついて体を固定しています。


見た目どおり、泳ぎはあまり上手な方ではありませんが、モーター駆動のようにフィーンと泳ぐ様子はかなり可愛いです。

 

ダンゴウオ科には総勢6属28種(26種?)が所属しておりますが、未だその分類は不安定です。

深海に生息している種類や、普段少し深い場所にいる種類が繁殖期に浅場に移動してくることもあります。また、中には生息地域、成長の過程、雌雄などで姿がかなり変わる種類もいるようです。


また、冷たい海の中を広範囲に調査するのはかなり難しいことも含めて、これらの分類は暫定であると考えた方がいいかもしれません。

北海道(積丹)でダンゴウオを観察できるシーズン

北海道というと広く、道東、道央、道南でもシーズナリティが変わってきてしまいますが、積丹の海では12月〜7月頃と長い期間観察できます。

 

ただ、1種類をずっと見られるというわけではなく、いろんな種類が入れ替わり立ち代わり登場します。また、その稚魚たちが少し成長した姿なども観察できます。例えば、1月にみられるナメダンゴ、その幼魚が4月に出てくる、などさまざまです。

 

なんだか毎月通いたくなってしまいますね。

特に頻繁に観察できるのダンゴウオ科の生物は3種類です。

  • ナメダンゴ
  • ゴッコ(ホテイウオ)
  • サクラダンゴウオ

 

実はヒラダンゴという道東の激レア種もいるのですが、とても珍しいものらしく、私もいつかあのマーブル模様のダンゴウオを見てみたいな〜とひそかに胸にしまってます。気になる方はググってみてくださいね。

ナメダンゴ

大人のナメダンゴ in 積丹

大きなビックリしたようなお目目に、みよ〜んと伸びる鼻?突起が伸びてるんですが、これ、鼻?わからない…とにかく可愛い!

 

いろいろ可愛らしいパーツがたくさんありますが、最大の特徴は王冠のような形の背鰭です。

北海道以外だと青森くらいまでしかいないみたいなので、これぞ冷たい海のアイドルですね。

12月〜2月頃に浅場に親ナメダンゴが登場します。運が良ければ抱卵しているところを見られるかも?

4月5月頃に幼魚が観察できるかと思います。私はまだ幼魚の方は見たことなので是非見たいなー!!

 

大きさは1センチ〜最大10センチほどまでに成長します。
え?ずいぶん幅がありますねって?

 

実はこのナメダンゴ、道南、道央、道東など海域ごとでかなり形態が異なるようです。

腹部に骨質コブ状突起という鎧のような形になる個体とかなり控えめな突起にしかならない個体など地域によってバリエーションが豊富です。
ちなみにカラーバリエーションも多く、赤、黄、クリーム、小豆、オレンジなどさまざまです。

大人のナメダンゴ in 羅臼 積丹の個体と見た目全然違いますけども…
子ナメ小豆色 in 羅臼
子ナメ クリームオレンジ in 羅臼
子ナメ オレンジ in 羅臼
大人ナメ 山吹色 in 函館
大人ナメ 赤 in 積丹
大人ナメ 白? in 積丹

道南道央では比較的ツルッとして最大2−3センチと小さめのナメダンゴ。
道東では、コブ状突起が強調され、最大7−10センチの大きさになります。
どちらにも共通するのはやはり王冠型の背鰭のようです。

 

地域による海流スピードや食性などが影響しているのでは?と思いますが、真相は…?
未だ種の分類がはっきりしていない部分もあるので、もしかすると近い未来に実は別の種類でした〜なんてこともあるのかも?

ゴッコ(ホテイウオ)

北海道にお住まいの方なら知っている方も多い魚、ゴッコ。

函館の郷土料理「ごっこ汁」の具材になる魚です。

スーパーなどでぶつ切りになって売られているのですが…この愛くるしい姿までご存知の方は少ないかもしれません。一度見たら、なんだか可哀想で食べられません。(他の魚は海でもスーパーでも美味しそうに見えるのに…笑)

可愛い可愛いゴッコたんですよ〜

成魚の大きさは30センチ程度と結構大きいです。
本来水深100メートルほどの場所に生息していますが、繁殖のために浅場に上がってくるゴッコたん。

 

出現シーズンは積丹だと1月頃に成魚が抱卵していて、2〜3月頃に稚魚、幼魚が見られます。函館や羅臼ではもう1、2ヶ月シーズンが後ろ倒しのイメージですね。

天使の微笑み?どぉーん

ちなみにメスは卵を産むと死に、オスが卵を守り卵が孵化する頃に死んでしまいます。この間、ほんとうに健気に卵を守り続けます。卵を守っている個体は吸盤で強力に体を固定し、テコでもその場から動きません。

 

そうして孵化した幼魚たちはとっても可愛いのです!オタマジャクシのような形ですが、黄色や茶色の体に多様な斑点模様を持ちます。マーブル柄、ドット柄、無地などさまざまです。海藻の上に乗っていることが多く、大きさは2ミリ〜5ミリ程度。本州で見られるような天使の輪はありませんが、良心的なサイズにホッとします(?)

 

シーズンになるとそこかしこに大量にいるので、好みの子を探すのも楽しいですね。

ちなみにゴッコの幼魚は越前など、北海道以外の日本海側でも見られるそうです。

マーブルドットがお気に入り
ドットと後ろでボケてるのは狸みたいな子
イトマキヒトデの上にも

サクラダンゴウオ

2017年に種として発表されました。元々は本州太平洋側のダンゴウオと同種とされていましたが、あまりにも異なる出立ちと生息域であることから、遺伝子解析などの調査を経て別種と発表されました。

 

積丹では3月頃から成魚が観察できますが、成魚を見るのはとても難しいです。

天使の輪のついている幼魚たちは6月頃、7月には輪がなくなり少し成長した姿になります。

 

数は多くないものの成魚より幼魚の方が見られる確率が高いですが、ゴッコの幼魚と比べれば個体数はかなり少ないので見られるかどうかは運次第ですね。

笑いかけてくる…多分気のせい
下向く瞬間が一番好き、キュンとなる
めちゃブサイクなのにかわゆい

いずれにしてもこのサクラダンゴウオの体色や体表面の質感はかなり保護色になっており、小石そっくりで見つけるのもとても難しいです。見失うと見つけられなくなることもしばしば。

 

北海道以外でも日本海側でよく見られる種類なので、サクラダンゴが見たいとあらば冬の日本海へ行ってみるといいと思います。

まとめ

目をキョロキョロさせ、呼吸をしているだけなのにこんなに可愛らしいのはダンゴウオ科の特権ですね。

 

今回は3種類のダンゴウオを紹介しましたが、やはり北海道で潜るのなら ナメダンゴ は是非見ていただきたいです。本州のダンゴウオよりも大きいので撮りやすいですよ!そして独特のビックリ顔と王冠型の背鰭に釘付けになってください。

 

ゴッコたん は成魚も幼魚も大きめなので撮りやすいし、幼魚の独特のドット柄がオシャレ。

 

太平洋側ではみられない サクラダンゴウオ はコロッコロのまんまる、目の悪い方には小石や小さな貝と判別しにくい憎たらしいところもあるけど、やはり可愛いは正義。

 

それでは、また。

(Visited 537 times, 1 visits today)