冬の北海道でダイビング!vol. 2 大型生物と水中景観 主に積丹

冬の北海道でダイビング!vol. 2 大型生物と水中景観 主に積丹

2021-05-16 2 投稿者: Sayaka

おばんです〜、水中世界をこよなく愛する、さやかです。
おばんですって京都と北海道の方言らしいですね。つい先ほど知りました。北海道と京都の意外な共通点です。

さて、今回は冬の北海道シリーズ第2弾「北海道の海のワイド」がテーマです。
そもそも北海道って何が見れるの?え?昆布?ウニ?というアナタ…

 

正解!

 

というのは半分冗談ではありますが、たしかにウニの数は多く、知らずに刺っていたことは数えきれませんが…

今日ご紹介したいのはこちらの4つです。

(1) トド
(2) タコ
(3) 昆布
(4) 柱状節理

 

ちょっと地味っぽいニュアンスのラインナップで、最初は「ふーん」と思うかもしれません。確かに魚影が濃いわけでもないのですが、だからこそ1個体をじ〜くり舐めるように観察する良い機会になります。生き物との1対1の心理戦?には謎の魅力があり、ジワジワ虜になるはずです。

北の巨大生物トド

海の哺乳類といえばイルカ、最近ではザトウクジラを見たことがあるという方はいらっしゃるかもしれませんね。日本でもスノーケリングで観察できるスポットが増えてきています。

 

しかし!!トドは北海道でしか観察できません。それも北側のみです。おそらく積丹町あたりがトドを観察できる最南端ではないでしょうか。

 

国内で見られるアシカ科はトドとキタオットセイのみで、普通のレジャーダイビングで見られることに限定すればトド一択です。

(キタオットセイは千島列島に生息しており、水中で見るにはかなりハードルが高いですね)

 

ダイビングで「トドを見られる」としているスポットは2箇所(かと思います)、積丹と知床ですが、積丹で見られる確率も30〜50%程度なので、とてもとても貴重です。(透明度が15メートルほどなので、近くにいても見えていないということもあったかもしれません。)

稚内や礼文島などでも見られるようですが、生憎現地のダイビングショップを見つけられなかったため水中で見ることは難しそうです。

 

わたしはトドを積丹の幌武意でしか見たことがないので、積丹での話に限定すれば、冬にしか見られない生物で、夏の間はロシアで生活していると考えられています。

 

幌向意で見られるトドは狩の道すがらダイバーに興味を示して立ち寄ってくれる流れの個体で、主にメスや若いオスです。メスはオスよりも小さいのですが、体長2m以上にもなります。小さいと言ってもアシカ科最大の生物ですのでかなりのサイズですね。

 

ホッケが抱卵している岩礁では私たちダイバーが視覚でトドを見つけるよりも早くにホッケ達が気配を察知して一斉に逃げます。ホッケが流星のごとく逃げた逆の方に目を凝らすと魔王が降臨したかのようにトドの影が見えます。

 

1,2頭が現るのが通常運転のようですが、私は初のトド狙いで7頭に出会えてしまいました。(1年の運を使い果たしたかもです。)

最近めっきり大型生物への関心が薄くなってきた私ではありますが、やはりトドは見たら興奮します!

「ブル」と呼ばれるボスを見られることは滅多にないそうですが、これも見てしまったんですよね…メスの2倍はあろうかという巨体に驚いて、水中で久しぶりに絶叫しました。

 

マンタみたいにゆっくり泳ぐわけではないので、優雅という感じよりも大迫力!というのを味わうことができます。

ノースパシフィックジャイアントオクトパス(ミズダコ)

お次に紹介するのは、ジワジワ好きになってくる世界最大のタコ「ミズダコ」です。

英名North Pacific Giant Octopusです。

ジャイアントオクトパスなんていうと途端に格好良さそうに聞こえますね!

 

ミズダコがどれくらいジャイアントかって言うと、最大クラスで5メートルほどにもなります(By ウィキペディア)。

 

あれ?雄のトドより大きくなる…のか。すごいですね。

 

主にアラスカやカナダなどの寒い地域で見られるようですが、北海道でもたくさん見られます。北海道の海なら3メートルくらいの個体が大きい部類に入るかと思います。

 

ミズダコは季節的に浅い海と深い海を行き来するらしいのですが、その時期には地域差があるようです。ある場所では夏と冬に浅場にくるとか…積丹と函館では冬のダイビングで見つけやすく夏での目撃例はなさそうです。

 

おそらく繁殖行動と関連があるのでしょうけど、詳細は謎です(たぶん)、不思議な生態です。

小さめのミズダコ1.5メートルくらい?
巨大生物の小さく可愛らしい時期(10 cm程)

大人のミズダコ、特に大きな個体ほど岩の下に隠れていたりすることが多くなかなか全身を見るのが難しいので、隠れ家の外に出てきたらとてもラッキーです。

 

そこで、ですが、全身を見たいからと言って隠れ家で休んでいるタコにちょっかい出すのはオススメしません。万一、タコを怒らせて顔面を覆われてしまったり、マスクやレギュレータを奪われてしまっては生命に関わるからです。安直な考えで悪戯してはいけません。

 

こんな風に聞くとタコは攻撃的な生物のように感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはなく、こちらが何もしなければいきなり襲われるなんてことはありませんので、ご安心を。

 

ただ、ミズダコに関して言えばダイバーにとても興味は持っているように見えました。

 

私が他の生物の撮影に夢中になっていた時、脇の下からタコの足がニョロニョロ出てきまして…覆い被さってきていました😇これには結構驚きました。

 

巨大なミズダコにとっては遊んでるだけでもこちらは生命に関わりますので、タコに敵意はなくとも油断は禁物です。

 

なんだか危険生物見たいな紹介になってしまいましたが、もしも、タコに襲われ 戯れつかれた時の簡単な対処法をお教えします(私も教えていただいた方法ですが)。

「水面に向かってゆっくり浮上」してみましょう。

この方法はとても簡単で驚くほど有効です。万が一の時はお試しください。

昆布(海藻類)

実は昆布ってどこでも見られるものではないのです。北海道と東北の一部だけにしか分布していないんです。恥ずかしながら、北海道出身の私ですが、どこにでもあるものだと思っていました。(大学生頃になって初めて知りました…)

 

浅瀬に生育する巨大な昆布が緩急ある波に揉まれて、揺れながら太陽光が当たって黄色っぽく透ける様子はとても美しいですね。生い茂った昆布は冬の北海道限定の光景です。

荒々しい波の中のぐにゃんぐにゃんに揺れる昆布

ちなみにこの立派な昆布は函館で撮影しました。残念ながら積丹では磯焼けがひどくこのような光景をダイビングで見るのは難しいそうです。

夏の積丹で見る海藻(朽ちた昆布?)

ところでシレッと使った「磯焼け」という言葉についてご存知でしょうか。
なんらかの理由で海藻(主に昆布)が育たなくなり、岩肌が剥き出しになってしまう現象です。

理由は土地によって様々です。

  • ムラサキウニやバフンウニは海藻を食べるのですが、このウニ達が増えすぎて昆布がなくなってしまうこともあります。
  • 河川から大量に土砂が流れ込むことで太陽光が届きにくくなることで光合成が妨げられた結果、育たなくなることもあります。
  • 海水温の上昇など関係しているかも。

磯焼けは、特に沿岸部で年々深刻化していて、今や昆布とて気軽に見られるものではなくなりつつあります。
巷では南国の珊瑚の白化現象やマングローブの減少などを多く取り沙汰されていますが、磯焼けもまた深刻な事態に直面しています。

ビヤノ岬の「海底遺跡・柱状節理」

最後は海底遺跡・柱状節理です。

ダイビングポイント名は「ビヤノ岬」で、陸にもある観光名所に因んで名付けられたポイント名です。冬ではなく夏に行くポイントではありますが、壮観な景色なので是非紹介させてください。

 

六角形の柱状節理はマグマが急激に冷却されたことでできる地形で、陸ではよく見られますが、水中で見られるというのは珍しいそうです。

 

規模も大きく、水底30メートルからそびえ立つ柱が連なり、上から見下ろすと六角形のタイルのような階段のような構造になっています。近づいてみると黒と白のモザイク模様になっており花崗岩のようにも見えますが、うーん、すみませんよくわからないですね…笑

積丹ブルーと呼ばれるシルバーブルーのようにも見えるの海の水の色とも良く合います。


かなり大きな地形なので壮大さを表現するためにどう撮影するか悩まされます。なかなか納得いく写真が撮れませんが、ダイバーが入ると規模がわかりやすいですね。

まとめ

北海道の巨大生物と地形はいかがでしたでしょうか。

  • トドは日本国内では北海道の一部でしか見られない、超でかい
  • ミズダコは世界最大のタコ、超でかい
  • 昆布がぐにゃんぐにゃんに揺れるのはいつまでも見ていられる、あと超でかい
  • 柱状節理が水中で見られるのはとても珍しい、ちなみに超でかい

 

ジャイアントオクトパスもといミズダコやトドは絶対見れるわけではないのですが、だからこそ会えた時の感動はひとしおです。

冬の日本海側は荒れやすく時化が続くこともあります。私も8日間設定していた日の内6日間しか海に出られませんでした。それでもかなり運がいい方とのことでした。

環境面でかなり厳しい場所ではありますが、北海道でしか見られない生物や景色を是非堪能していただきたいです。

 

そして、やはり何より北海道の海の面白さは行った方にしかわからない…百聞は一見にしかず。

 

それではまた!

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