フォトコンテスト入賞への道のり ~水中写真上達への道のり vol. 6

フォトコンテスト入賞への道のり ~水中写真上達への道のり vol. 6

2021-02-14 0 投稿者: Sayaka

こんにちは。さやかです。

先日、大変ありがたいことにOceanArt 2020というフォトコンテストのMacro部門で2nd place (2位) をいただきました。

 

撮影時の裏話と受賞直前のゴタゴタを備忘録的に書いてますので、どうぞお気軽に読んでみてください。

 

Ocean Artとは

Ocean Art は Underwater photography guide という海外の水中撮影チュートリアルのサイトで行われているコンテストです。

海外のダイビングリゾートや旅行会社、水中撮影機材の販売会社がスポンサーになっていて、水中専門の国際的なフォトコンテストとしては副賞の規模も大きく、参加者も多いと言われています。

 

毎年、超ハイレベルな写真が入賞しており、「どうしたらこんなん撮れんの?」「魔法?」と思うほどです。

是非、他受賞作品もリンクから見てみてください。

Ocean Art 2020

 

実は昨年2019年も写真を提出していたのですが、まぁ、当然箸にも棒にもかからず、笑

どうせ今年 (2020年)もカスリもしないだろうけど、出さなければ、選ばれることは絶対ないし…(宝くじ買う人の心理と同じです、笑、買わないと当たらない)

くらいの感覚で出してみたら、なんとまぁ!

キアンコウの赤ちゃんとの初めての出会い

Ocean Art 2020, Macro 2nd Place "Baby Anglerfish”

こちらが受賞した作品です。

キアンコウのハッチアウト(孵化)直前の赤ちゃんたちです。

大きさは2mmほど。とっても小さいのです。

 

北海道の積丹、2019年の夏に初めて出会いました。

 

水中ではこの不思議な顔や体の造形には気がつきませんでしたが、PCでチェックしてみて、しっかりと口があって、幼魚の時特有の腹びれもしっかりあるのをみたときは感動しました。

 

当時まさにこの構図で撮りたいとは思ったのですが、自分には無理だろうと思ってました。

なんせ、水中なので自分もわずかに揺れるけど、卵もゼリー状のシートに連なっているのでヒラヒラと揺れるのです。

さらにキアンコウベビー自身も卵の中でクルクル回ります。

 

その翌日、もっと若い状態のキアンコウの卵にも出会うことができて嬉しくて40分くらい撮影し続けていました。

撮影に熱中しすぎて自分が積丹にいること、海の中にいることさえも忘れるほど没頭して海と一体化した体験がとても感動的で、気持ちよかったのは今でも覚えてます。

 

そんなこんなで毎年このキアンコウの卵を撮りに来ようと決めて、赤ちゃんもカッコよく撮りたいなと思っていました。

2020年、キアンコウベビーといきなり再会

2019年から1年間の修行?を経て、2020年の夏がやってきました。

絶対撮りたい!撮る!と意気込んで現地ガイドさんに「ハッチアウト直前の!」とリクエストしていました。

 

実は当日の朝まで、

「なかなか見つからないんです、でもハッチアウト直後の稚魚はいるから絶対どこかにあるはずなんです。なんとか探したいですね!」

と言われていて本当に撮れるのか若干心配していました。

 

積丹ダイビング1本目、エントリー直後から2ミリほどの稚魚がたくさんいることに気がつきました。

「すごく近くに卵があるのでは?」と思った1分後、巨大な卵帯が岩に覆いかぶさっているのを発見しました。

 

2メートル四方の卵帯にハッチアウト直前の卵が無数にありました。見ているそばからハッチアウトしていく個体もいて、お祭り状態!

 

これはまさに運命だ!と思って80分/diveを3dive、つまりおよそ4時間、ひたすら撮り続けました。

いい条件の場所を探したり、カメラの設定、ライティングの強さ角度を調整しながら、絶好のタイミングが来るまでピントを合わせ続ける集中力(息ごらえ力?)

 

苦しくて焦ったくて、何度心が折れて天を仰いだことか…何度諦めかけたことか…

でも、今撮らないと、次撮れるのは1年後

この後1年間、後悔し続けるかもしれない

いや、1年後も同じように見られるとも限らない

今頑張らないと絶対後悔する

と思いながら撮ってました。

キアンコウベビー撮影時のこだわり

この作品を撮るにあたり絶対的な理想のイメージがありました。

 

写真真ん中・左の個体のように 体をクルンと丸めつつ顔がこちらを向いている ことです。

(もちろん他にも色々な構図を試しましたが。)

 

撮りながら、理想の作品に必要な条件を絞り込んでいきました。

  1. 卵帯が比較的固定されている
  2. でも、びっちり固定されすぎて、テンションのかかっている部分はダメ
  3. 卵帯には触れない
  4. ゼリー状の卵帯が綺麗に保存されている
  5. 砂がついていない。
  6. 私自身の体が固定しやすく長時間の撮影に耐えられる場所

結構注文が多いんですよ🤣

 

というのも、ヒラヒラと揺れるゼリーのような卵帯はテンションがかかると薄くなります。卵内の奥行きが短くなると、中の赤ちゃんたちは写真のようにクルッと体を丸められなくなるんです。

固定するために手で触れると破れてしまったり、ライティングの影になってしまいました。

朽ちていたり、砂がつくと美しくなかったですね。

卵帯はやや粘着性があるので一度ついた砂は取り除けないのです。取り除こうと仰いだりすると破れてハッチアウトしてしまうこともあります。

 

2メートル四方もある卵帯でもこの条件を探すと、撮影範囲は僅か手のひら程の範囲まで絞り込まれました。

引きで見るとこんな感じ

キアンコウベビーの撮影機材と設定

<<カメラ本体>> Canon 7D Mark II

<<レンズ>> Canon 100mm EF F2.8L Macro

<<ハウジング>> Zillion Housing

<<クローズアップレンズ>> Nauticam SMC-1

<<ライティング>> SEA and SEA YS-D2 2灯

<<カメラの設定>> ss 1/125,  F/25,  ISO1600

結構攻めた設定ですが、個人的にはF値はもっと絞ったほうがよかったと思っています。ISOを上げたのはストロボ光だけに頼ると、白飛びする部分が出てしまうからです。この設定でも若干目が白く飛んでますね。

現像

ゼリー状の膜のせいで白っぽくなっていたのを慎重に取り除きながらも、キアンコウベビーの半透明の体の輪郭や1つ1つに区切られた部屋の境界線も残す。

 

そこそこ納得いく、現像できていたのですが、なんとなく垢抜けない印象でした。

 

提出直前まで、悩んで、片っ端から調整しては戻してを繰り返しながら辿り着いた答えは、「青を引く」ことでした。ホワイトバランスの青ではなく、カラー(彩度)としての青を引きました。

その日は突然くる、逃さないための準備は入念に

年始、北海道で遠征ダイビングしていた時、深夜にメールが来ました。差出人はOceanArt様でした。

 

てっきり、受賞者発表のプレスリリースだと思ったのですが、RAWファイル審査に進んだ作品があるからRAWを提出してくれ、という内容でした。

 

RAW審査に進めるとは思っていなくて、RAWデータを持ち歩く習慣もなくて…慌てました。

 

「提出はきるだけ早く」とだけあり、期限は記載されてませんでしたが、3日間自宅に戻るまで待ってほしいと連絡したものの、返信はなく…

必死で記憶媒体を漁りまくったところ、運良くデータを見つけ、提出できました。

 

強運に感謝です。

最後に

初めてRAW審査のあるフォトコンテストで入賞させていただくことができ、本当に嬉しく思いました。

英語でキャプションを書いたり、コンテストの規定を確認するのはとても大変ですが、それだけ上達したということがこういう形で実感できるのはコンテストのいいところですね。

 

今回、写真撮影で学んだ大事なことは2つ

  • 自分の理想とする写真を貪欲に粘り強く撮ること
  • 提出した作品のRAWも持ち歩くこと

受賞したことは嬉しいですが、実は、個人的にはベストではないと思っています。

さらなる作品を目指して、精進いたします。

 

最後まで読んで降りありがとうございました。

それではまた!