水中写真上達への道のりvol. 2 ~ピントとライトとストロボ~
目次
ピンボケで悩んでないわいって方でも「ストロボで時間を止める魔法を使う」というと興味が湧きませんか?
はーい、こんにちは!さやかです。
割と多い質問として、
「ピント合いにくいのはなぜですか?」
「ピントが合ったと思ってシャッター切ったのに、よく見るとズレてるんです。」
という内容です。
ピントが合わない理由って、カメラの種類によっても有効な解決策が違うし、複数考えられるから1発ですぐに解決することは難しいんです。
だからこそ、多くの方を悩ませている課題なのではと思います。
もちろん私もたーっくさんピンボケ写真ありますよ。シビアな環境だと10枚中1枚やっとピント合ってるとか普通だと思います。(ヘタクソなだけかも…)
一番安くて簡単な解決方法は「ピントが合うまで撮り続けてください」です
なんていうと、がっかりされそうなので、今日はちょっとだけテクニック的な部分を解説してみたいと思います。
ちなみに今日は一眼レフ使用者でも、コンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)使用者でも何か1つくらいは「お?」と思う内容があればいいなぁと願っております。
感覚的にわかりやすい表現で説明するために専門的には不正確な部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。
ピンボケの理由
ピンボケしちゃう理由はいろいろですが、
オートフォーカスを使っているのなら
- カメラの故障
- レンズの故障
- カメラにとってオートフォーカスしずらい環境(カメラの性能にもよります)
- 手ブレなど自分が動いている
- 被写体が動いている
などなどです。
故障はもう直すしかないので、ここでは置いておいておきます。
最後3つあたりは撮影者の努力(技術や機材)によって改善できるはずです。
水中撮影と陸上撮影の違い
陸上よりも水中で撮影する方が難しいです。
それはなぜなのか。
陸上撮影との大きな違いは2つ。
- 潮の流れやうねりでユラユラ揺れてしまうこと。
- 明るさや色味が違うこと。
潮の流れがあったり、浮力で踏ん張りも効かないし、手ブレどころか身体ブレしますよね。
とにかくこれなんです。水中写真上達への道のりvol. 1でも解説しているように、ダイビングスキルが一番大事としているのはこの点です。
明るさや色味についてはライトやストロボを使って光を足すことで解決します。
カメラのホワイトバランスを変更してもいいですし、もっと突き詰めるとRaw現像まですることになるのですが、今回はピンボケに関する内容なので色味視点の内容は乞うご期待ということで保留しますね。
ホワイトバランスについては下記で解説しています。
シャッタースピード?手ブレ身体ブレ?
基本的にはシャッタースピードを速くするとブレにくくなります。(液晶画面のF値の左隣に表示される200とか1”とかです)
「200=1/200秒」「1”=1秒」という意味です。
シャッタースピードというのは、その光の情報をカメラ内に取り込む時間(シャッターを開けている時間)のことです。
シャッターを1/200秒だけ開けて情報を取り込む場合と、1秒分の情報を取り込む場合では後者の方が明るくなりますが、手ブレしやすくピントも合いにくくなるのはなんとなくわかりますよね?
水中撮影のようにカメラを手で持って撮影するような場合には、一般的にはシャッタースピードを1/125秒よりも速くすることで手ブレを抑えることができます。
コンデジにもシャッタースピード優先モードがありますので、是非活用してみてください。
それでもピンボケする場合は、なかなか認めたくない事実なのですが、想像以上に手ブレと身体ブレしていることが考えられます。「いーや、手ブレなんてものしてない!」と思ってるかもしれませんが、それが結構するんですよ、特に水中では。
一番の手ブレポイントはシャッターボタンを押し込む瞬間です。
じーっとシャッターチャンスを待っていて、「来た!」と思い切りシャッター切ると…8割以上の確率で手ブレしますね笑
8割とはいかなくても、絶対ありますよね?…ね?
興奮が原因ですね。水中では努めて冷静にシャッターを切りましょう。禅の域です。
禅、やったことないですけど。
ちなみにコンデジ用のハウジングのシャッターボタンは結構重いので、絶賛手ブレしやすい仕様です。(ミラーレス一眼のシャッターもコンデジも同じ形状)
その点では一眼レフ用のシャッターレバーはトリガーみたいな形状になっていて楽だなぁと思います。それでも手ブレしますけどね…。
ちなみにNauticam製のコンデジハウジングにはシャッターボタンをトリガー式にできる付属品が付いてくるようですので、最初からハウジングをNauticamもしてみるのもいいかもです。(高いですが)
ライトで光を足す
水深10メートルも行けば太陽の光はかなり減り、補助光もなくシャッタースピード1/125秒で撮影すると暗い写真になるか、ザラザラの粒子の荒い写真になるか、青っぽい画になるはずです。
ライトで光を十分量足すことで、シャッタースピード1/125秒に設定しても画面全体を明るく撮影できますし、オートフォーカスも素早く正確にピントが合う上に、被写体の色も出ます。
3 cm以下のマクロ生物のみの撮影なら1000ルーメン以下でもいいかもしれませんが、汎用性を考えると少なくとも1000ルーメン以上は欲しいところですね。
ライトは水中での視認性も高くなりセーフティグッズにもなるので、1本は持っておきたいところですね。
私はワイドアングルで動画も撮影できるように光量は2500ルーメン以上のライトを使っています。RGBlueさんのSystem02-2は大容量バッテリーなのも嬉しいです〜❣️
少し話は逸れますが、コンデジの場合、カメラが自動で画面全体を分析して、「アナタ、ここにピント合わせたいんじゃない?」みたいな感じでオートフォーカスしてくれちゃうんですよね。
これが厄介で、海の中って岩とか海藻とか色々ありすぎて、あらぬ場所にピントが合うことはあるある、ある過ぎます。
こんな時は手ピント(と私は勝手に呼んでます)を使います。
適当にシャッターボタンを半押ししてどこかにピント合わせておいて、そのままピントの合ってる位置に被写体が来るように自分が動くんです。
これは結構やってる方は多いのではないしょうか。コンデジを使ってた頃を思い出しますね~。
ちなみに、オリンパスのTG-5以降などではマニュアルフォーカス機能が使えるのでこちらの機能を使うことを強くお勧めします。
ストロボで時間を止める魔法を使う
もっと強烈にピンボケを防止したい、鮮明な写真にしたい、ということであればストロボを使ってみましょう。
なぜならストロボには時間を止める効果があるからです。
SF的な話ではないです。
手っ取り早く実例を挙げましょう。
Olympus E-PL7, 14 mm, ワンドコンバージョンレンズ+ドームレンズ
ss1/6秒, f/8.0, ISO250, YS-D2 1灯 (マニュアル調光1/64), RAW現像済み
このサメの写真はシャッタースピード1/6秒で撮影しています。(絞りとISO感度の設定が甘かったのでPCでホワイトバランスなどを変更してあります)
千葉の伊戸にいるサメ達なので、もの凄く動き回ります。先の話からするとストロボなしの状態で1/6秒撮影したらブレブレになるはずですよね?
でも、歯を拡大してみると、こんなにシャープな輪郭なんです。
ストロボの閃光はとても短い時間しか光りません。メーカーに公式情報がないのでわかりませんが、1/250秒よりは短いはずです。
仮にフル閃光時間が1/250秒とすると、私は1/64にマニュアル調光しているので1/16000秒の閃光時間になります。
1/6秒間シャッターを開けている間に、ストロボ光が当たった部分(赤線内)に限って1/16000秒間の光の情報を追加して写真に焼き付けることになります。
暗くて 素早く動いている部分(青線内)=光の情報として曖昧になり
明るくて 止まっている部分(赤線内)=鮮明に焼きつくのです。
写真は光の情報を取り込んで作るものです。
時間を止めるというと大袈裟ですが、似たような効果がストロボにはあるんですね。
ずーっと光りっぱなしの水中ライトよりも、ストロボの方が手ブレを目立たなくする効果が絶大だということはなんとな~くわかっていただけたでしょうか?
カメラの浮力を調節する
そんなこんなでカメラにライトやらストロボやら色々付けると、どんどん重くなっていきますよね。重いままだと身体に余計な力も入るし、カメラを構えているだけでも疲れてしまうので、フロートをつけるといいですね。
個人的には水中で500g~1kgくらいの重さになるように浮力を調整したいところです。
フロートアームもいいですし、アームにつけるフロートチューブもいいですね。浮き玉のようなフロートもあります。発泡スチロールを手作りでくっ付けている方も見たことがあります。
方法は色々あるので試してみてください。
色々道具があるけれど、何はともあれ使い方を覚えるのが先決
道具はあればあるほど課題解決の選択肢も増えます。ですが、水中でそんなにたくさんの道具を使いこなすことは結構難しいです。私も陸に上がってから「あれがあったか!」と思い出すことも…。
目を瞑っていても自由自在に操作できるくらいに、まるで自分の手足を動かすようにダイヤルを回したり、ボタン操作ができるようになることも大切ですよ~。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
ライトやストロボには今回ご紹介した以外にも色々な使い方があるので、今度もお悩み別に解決策を提示していくようなスタイルで、少しずつ解説していきたいと思います。
今回の内容をサクッとまとめます。
ピントばっちりの綺麗な写真を撮るためには、
- 手ブレ、身体ブレを抑えるためにダイビングスキル向上は必須
- シャッタースピードは1/125秒よりも短いと手ブレしにくくなる
- ライトを使うとオートフォーカスが素早く正確になり、光が加わることでシャッタースピードも上げることができる。
- ストロボは時間を止める魔法を放つので、ストロボ光の当たっている部分が鮮明に映し出される。
- フロート使ってカメラの浮力を調整すると身体に余計な力が入らなくなる
- カメラや撮影機材の操作方法、ボタン配置は目を瞑ってもできるくらい覚える
- ピントが合うまで撮り続ける根気も忘れないようにしたい
それではまた!
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PADI Divemaster #832577 ダイビング✖️写真✖️旅 = 世界の海・自然と人と人と社会を繋ぐ 言語・距離・文化の壁、全部越えて、 もっと自由に、もっと楽しく、 興奮と感動と癒しの海への扉となることを目指します。
Very helpful. Thank you.
That’s nice of you to say that!!