水中写真上達への道のりvol. 1~忘れがちだけど一番大切な3つのスキル。
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こんにちは。さやかです。
今回は旅ではなく、水中撮影を上達させるために私のやっていることをご紹介します。
というのも最近、嬉しいことに、
「どうしたらそんなに綺麗な水中写真が撮れるんですか?」とか
「水中写真の撮り方教えてください」とか
「撮影中についていきたい。撮ってるとこを見たい」とか
リクエストをいただくことが多くなってきたのですが、なかなかお応えできないでおります。
そんなわけでブログだけでも、何かお伝えできれば!と思い書いてみました。
必要な機材とかストロボの使い方とかなどテクニック面ではネットでいろいろご紹介されているところもありますので、今回はそちらにお譲りするとして(最後にリンク貼っておりますね)
私が普段どんなことを考えて写真を撮っているかということを交えて(というかここが一番大事)お伝えしたいなと思います。
どんなカメラを使ってるの?
よく聞く話なのですが、
「いいカメラを使えば綺麗な写真が撮れるはずだ。もっと性能の良いカメラが欲しい。」
というものです。
実際、半分当たっていますが、半分間違いです。
とはいえ、まずは私がこれまで使ってきたカメラをご紹介しますね。
使用したことのあるカメラ
【コンパクトデジタルカメラ】
- OLYMPUS μ10
- CANON IXY200
【ミラーレス一眼カメラ】
【デジタル一眼レフ】
撮影した写真
μ10やIXY200はもうすでに他界(処分)しており現在の作例をお見せすることはできませんが、一番気に入っているアカオビハナダイでお許しください。
さすがにコンデジと一眼勢では画質が違いますが、最近のコンデジならIXY200よりも段違いに綺麗な写真が撮れると思います。
CANON IXY200+ストロボ
OLYMPUS PenLite7+ストロボ
+外付けドームレンズ
CANON 7Dmk2+ライト
カメラが違うと何が違うの?
コンデジと一眼は何が違うんでしょうか?どうして、一眼レフを使っているのか?
一眼レフを使っている理由は以下の4つです。
(1) 大判印刷したときに滑らかで美しい
色の階調が大きい
(2) 絵作りがしやすい
フォーカス位置が自由
シャッタースピードや絞りが自由
(3) シャッターレリーズのタイムラグがない
(4)オートフォーカスが速い
特にPenLite7から7Dを使うことに至ったきっかけは(1)ですね。
それ以外ならPenLite7も十分、力を発揮してくれます。
この辺の内容は話すと長くなりそうなので、後日改めて書きたいですね。
カメラの性能よりももっと大事なこと
今回一番お伝えしたかったことです!!
水中撮影に必要なダイビングスキル
素敵な水中写真を撮るためには、まずなによりもダイビングスキル!
本当にこれに尽きます。
私はダイブマスターでこれまで600本潜っています。この半年で100本は潜っています。
でも、やっぱりまだまだもっと上手くならないと、と思います。
とにかく水中で微動だにしない完璧な中性浮力が大事です。
体がブレブレではどんなにフォーカス性能の良いカメラでも、手ブレ写真にしかなりませんものね。
ピントを確認する間にも体が動かないようにしっかり止まれるようになりましょう!
半押しでピントを合わせてシャッターを切る間は呼吸を細くをします。
私は息を吐いてからそのまま止めていることも多々あります。
吐くエアが生物を驚かせてしまう原因にもなってしまいますので、被写体が逃げないようにする効果と手振れ防止になります。
綺麗だと思ったありのままの姿を撮りたいですし、絶対逃したくないですからね。
流れている環境では無理に流れに逆らうのではなく、流れを利用します。
これが一番難しくて私もまだまだ修行が必要です。
綺麗な撮影環境は自分で作る!?
これもダイビングスキルの一つなのですが、着底するにしても泳ぐにしても、とにかく砂や浮遊物を巻き上げないことです。
とくに一眼レフは性能が良いので、ゴミの写りもいいです(笑)
ご自分で舞い上げた砂や泥が入っては綺麗な写真にはなりません。
特にマクロ撮影では砂の一粒も舞い上がらないように配慮します。
こういったスキルは環境保護にも繋がりますから、私ももっと磨いていかないとな、と思っています。
もし舞い上げてしまったら、砂が落ち切るまで待ちます。
ではどうやったら舞い上がらないの?というと、
とにかくゆっくり動くこと、動きを最小限に抑えることを考えてみてください。
いっそ着底しないというのも手ではありますが、そこまで行ったら仙人の域ですので、遠い道のりかと思います(笑)
周囲の環境や被写体をよく観察する
どんな写真にしようか、とか、構図を決めるときに大切なことです。
まずは撮りたい生き物を見つけたら、何が魅力的なのか、どうして可愛いと思うのか、よく考えます。
次にその魅力的な瞬間を見られるのはどんな時なのかを観察します。
このキンギョハナダイを例に解説します。
久米島で撮影した1枚です。
沖縄まで来てキンギョハナダイを撮るなんて相当なモノ好きかもしませんが、
このとき私の考えていたことは、
「若い個体は透明感があって綺麗だな」
「久米島の明るい海でターコイズブルーの海とピンクの魚の対比が綺麗だな」
「正面顔ってかわいいな」
ということです。
この気持ちを写真に表現するために試行錯誤するのです。
前述のダイビングスキルも含まれているのでケーススタディとして参考にしてみてください。
- ハナダイ達を驚かせないように、逃がしてしまわないように、そーっと近寄る。
- 周囲に危険生物がいないことを確認する
- 寄れる最短距離を見極める。(それ以上は近づかないようにする)
- 全体を明るく華やかな印象にするのと魚をフワッとした輪郭にするために絞りを開放
(f値というやつを小さい値にする。今回は被写体との距離も考慮して3.5に設定)
- 背景をブルーにするために岩が入らない位置に移動
(水底から30cmの位置を泳ぐ魚を少し仰ぎ見る形にするため、
地面に這いつくばって斜め45°を見上げるようにしました)
- 珍しく真ん中にピントを合わせてみようと思い立つ
- 多くの魚は流れに逆らうように泳ぐことと、潮が振り子のように揺れることの両面から考えて、真正面(こちら)を向いてくれるタイミングを見計らう。
- 何度か来るチャンスでシャッターを切ってるうちに、キンギョハナダイが横一列に並んで動きがシンクロする瞬間があることに気が付く
- f3.5だとピントの深度が浅いので、ばっちり平面上に一列に並んでくれる瞬間が画になりそうだと思いつく。
- 真一文字だとのっぺりした印象になるので、斜めに配置して空間の広がりを出そうとゆっくりカメラを傾ける。
といった感じで5~10分くらいかけて撮影したものです。
(チームを見失わないようにするため、これでも撮影時間が短いくらいです)
撮った後にも反省会をします。
- もうちょっと時間をかけて被写体との距離をじわじわ縮めることで色を綺麗に出したかった。
- 一番右側の子の目をフレームインさせたかった。
- 全個体ピントバッチリになるまで粘りたかった。
- もっとたくさんの個体を1枚に収めたかった。(もう少し画角の広いレンズほしいな)
とかですね。
チャンスを待つ姿勢
先の内容で何度か来るチャンスでシャッターを切ると書きました。
「待つ」
これが大事です。
大きな生き物(ダイバー)が突然近づいてきたら魚達も驚くはずです。
十分な距離を保って、決して驚かさないようにしましょう。
近づく時は生き物の様子をよく観察して、何をすると嫌がって逃げるのか、こちらを警戒させないためにはどう動けば良いのか。
大抵は動いているかわからないくらいゆっくりゆっくり近づけばいいのです。
決して焦ってはいけません。
駆け引きです。
私はアオリイカの産卵をわずか50cmの距離で撮影するために、80分間1ペアのイカを撮影し続けたことがあります。
ここまでやったら・・・おめでとうございます。
あなたも立派なド変態の仲間入りです。
というのは冗談ですが。
それくらいのめり込んでよく観察することで撮影のヒントを掴んだり、
過去の反省点や改善点を思い出すことができたりします。
待つのは苦手。と思う方はウミウシや生えモノなどの動かない被写体で練習してみるといいかもしれませんね。
ただし、これらも優しく近づかないとエラが引っ込んでしまったり、ポリプが閉じてしまったりして残念な仕上がりになってしまいますので、ご注意!
良い写真をたくさん見る
私がインスタグラムを再開したきっかけは良い写真をたくさん見るためです。
世界中のプロからアマチュア写真家まで、海、陸に関わらず良い写真から学ぶことはとても多いです。
自分では思いつきもしないようなアイディアに溢れた作品もたくさんあり、いつも刺激をもらっています。
どんなふうに撮ったのだろう。と真似することもいい練習になりますよ。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
なにか一つでも参考になる情報があったなら嬉しいです。
- 素敵な水中写真を撮るためにはカメラの性能以上にダイビングスキルが大事。
- 中性浮力のスキル向上は必須。
- 生き物を驚かせない。
- 呼吸も動きもゆっくりとした動作を心がける。
- とにかく焦らず待つ気持ちを持つ。
- 生き物や周囲の環境をよく観察して、自然にあるものを最大限に活用する。
- 良い写真をたくさんみる。
- 撮った後の写真も何度も見返して反省点を次に活かす。
最後に
私たちは海の中にお邪魔させてもらっている立場です。
意図せず生き物を驚かせてしまったり、ストロボを当てたり、水流を起こしてしまったりします。
画を作ってくれる全ての生き物に感謝して、感動的な光景をありがとう、かわいい表情をむけてくれてありがとう、いてくれてありがとう、という気持ちを忘れないようにしたいですね。
その場を去る最後の瞬間まで、生き物に優しく。
基本テクニックはこちらを参考に
PADI Divemaster #832577 ダイビング写真旅 = 世界の海・自然と人と人と社会を繋ぐ 言語・距離・文化の壁、全部越えて、 もっと自由に、もっと楽しく、 興奮と感動と癒しの海への扉となることを目指します。