水中写真の始め方 ~水中写真上達への道のり vol. 8
目次
こんにちは、さやかです。
今回の水中写真上達への道のりシリーズは超初級編となります。vol. 7まではある程度水中写真に慣れ親しんでいる方に向けた中級〜上級の内容を書いていたつもりです。
ですが、最近ブログを見てくれたという方から、ちょっと難しいという声もいただいたことがきっかけで、初級編も書いてみようかと思い至りました。
せっかくなので本当の最初の最初から、解説してみようと思います。初めて水中撮影しようと考えている方向けです。
今後、水中写真を撮り始めたものの「どうして上手くいかないんだろう」という場合をパターンに分けて解説していくのもいいのかな、と思います。
水中で写真を撮影するために必要なもの
基本的には、
・カメラ本体
・水中ハウジング
この2つがあればまずは水中撮影のスタートを切れます。
はっきりした色味の写真を撮りたいと考えるなら、ゆくゆくは外付けのストロボや水中ライトを追加すると良いと思います。
ストロボとライトの解説は下記記事を参考にしてみてください。
とはいえ、他の機材については予算や撮りたい写真に合わせて少しずつステップアップしていけばいいのかな、と思います。
水中ハウジングって何?
ダイビングや素潜りなどで、初めて水中写真を撮ろうと考えた時に必要なものですが、そもそもハウジングという聞きなれない言葉に拒絶反応が出てしまう方もいるかもしれませんね。
「防水ケース」「防水プロテクター」とも表現されます。
これを水中写真の世界では「水中ハウジング」もしくは「ハウジング」と呼びます。
海外の水中写真サイトでも「Housing」と書かれているので国際的に通用する一般名称です。
防水ケースですと、ジップロックのような袋に入れるだけでも防水ケースと呼べなくもないですが、ハウジングというと、ケースの中に入れたカメラのボタン操作をできたり、水深40メートルまでの耐水性があるように製造しているものが多いかと思います。
今持ってるカメラを水中で使いたいんだけど…
これは本当によく聞かれるご質問です。
大抵は「今持っているカメラの機種に寄ります」というのが当たり障りない解答ではありますが、ここでは細かく解説してみます。
①コンパクトデジタルカメラの場合
市販のハウンジングを安価で購入したいのであればカメラの機種によっては3〜5万円程度でハウジングが購入できます。
②アクションカムの場合
ここ5年ほどでGoProやシータなどを持って海に来る方が非常に増えましたね、水深◯メートルまで防水と謳っているカメラも多いですが、ダイビングでは水深10メートルよりも深いところに行くことも多いので、こちらもやはり専用のハウジングが必要です。
私もGoProは持ってます。めちゃくちゃ便利、ではありますが、水深の深いところではライトがないとかなり画質が荒くなります。
アクションカムについてはメーカー側が丁寧に宣伝、解説しているのでそちらを参照していただいた方が正確な情報が得られるかと思います。
③オリンパスのレンズ交換式のカメラPEN E-PL7の場合
2022年現在生産は終了しているものの、こちらの水中ハウジングは今だに人気があります。
私も持っています。(トップのアイキャッチはE-PL7のカメラとハウジングです。)
買った時についてくる標準レンズをハウジングに入れられる設計なので、カメラとハウジングがあればすぐに水中で撮影できます。コンパクトデジタルカメラを水中で使うのと似た感覚で使用できます。
ハウジングはAmazonでは6万円ほどで購入できるようですが、あまりに安すぎてちょっと怖いような…水没などのトラブルは自己責任にてお願いします。信頼できるところから購入・譲渡してもらえるならかなりお勧めのカメラです。
④オリンパスのレンズ交換式のカメラEM-1 MarkⅡの場合
2022年現在、EM-1 MarkⅡ用のハウジングであれば8~9万円ほどで手に入りますが、使用するレンズを選んでレンズの大きさに合うポートを選択して別途購入する必要があります。
全体としては20〜30万ほどはかかると思った方がいいです。
以下の⑤レンズ交換式カメラのハウジングシステムと同様です。
こちらの記事を参考にしてみてください。
⑤レンズ交換式カメラ(オリンパス以外)の場合
まずはご自身のカメラのハウジングが市販されるいるかネットで検索してみましょう。
市販のハウンジングはかなり高価で40~100万円もしくは100万円以上かかる可能性もあります。
大きさもカメラとハウジング合わせて4~10kgとなり、かなりのサイズ感と重さになるので、ダイビング初心者の方には取り回しが大変なのと安全上の観点からあまりオススメはできません。
⑥お持ちのカメラがとても気に入っていて、市販のハウジングは売ってないけれど、何がなんでも(数十万以上払ってでも)それで水中撮影したい。
というこだわり派の方はハウジングをオーダーメイドすることもできるようです。
カメカメCAMERAさん(https://www.umicamera.com/f/housing)
Proofさん(http://www.proof-08.com)
水中技研さん(http://suichugiken.web.fc2.com)
極端な話、どんなカメラでもハウジングさえあれば水中で撮影することは可能です。
ダイビングスタイルやご予算に合わせて検討してみてください。
水中撮影機材メーカーの対応表を参考にする
今現在お使いのカメラを使用できるハウジングが販売されているか、もしくは過去に販売されていたことがあるのか、水中撮影機材メーカーの対応表で確認することもできます。
対応表を見れば、そのハウジングに適合する外付けのワイドレンズやマクロレンズがあるかどうかも、わかるので便利です。
【INON(イノン)】
INONさんはコンパクトデジタルカメラを中心にミラーレスカメラ向けに製品展開しているだけでなく、水中ライトやストロボなど水中撮影機材全般に精通したメーカーです。
http://www.inon.co.jp/products/lens/ucl165ld/compatibility.html
上記サイト内に使用したいカメラがなければ、市販のハウジングはまず手に入らないと思います。物によっては中古ですら手に入るかどうかは分かりませんので、あくまで参考として考えていただければと思います。
ちなみに対応表内の一番右の欄にある、アダプターとかベースと買いてある製品はほぼ間違いなく必須になります。ハウジングと外付けレンズの間に挟むような形で使用します。
一眼レフの情報を知りたい方はこちらを参考に→【初心者向け】一眼レフ用水中ハウジングを徹底解説 第1弾 基本中の基本とセットアップ動画あり
外付けレンズって何?
水中ハウジングの多くにはレンズ部分の丸いところにネジの溝が掘ってあります。
この溝を利用して外付けレンズを取り付けることができます。
外付けレンズはコンバージョンレンズとも呼ばれ、大きく分けるとワイドレンズとマクロレンズがあります。
ワイドレンズは画角が広くなり、南国の海で壮大な珊瑚の群生やマンタなどの巨大生物、魚群をダイナミックな雰囲気で撮影する際に活躍します。
マクロレンズは小さな小さな、数ミリ程度の生き物も撮影できるようになり、水中写真というより異世界のような写真に仕上げることもできます。
コンパクトデジタルカメラと水中ハウジングの紹介
普段はあまり写真を撮らないけれど、水中撮影するためにカメラがほしいという方を想定して、本記事を書くにあたって、最近はどんなカメラがあるのか勉強のために色々調べてみました。
せっかくなので、こちらで紹介してみようと思います。
(1) Olympus TGシリーズ
特徴
・ユーザー数が圧倒的に多い
・汎用性が高い
・カメラとハウジング両方を新品で買っても9~10万円ほど
・マクロ撮影(小さな生き物の撮影)に強い
あまり特定のメーカーをお薦めするのは公平ではない気がして気がひけるのですが、客観的にみても圧倒的にOlympusは水中用関連製品が充実しています。
TGシリーズを使用されているダイバーは非常に多いです。
新品を買いたい、ということであれば、
使い方がわからない時にダイバー仲間やお店のスタッフからも話が聞きやすいということも含めると一番おすすめかもしれません。
特に顕微鏡モードを使うことで、生物の目では見えないほどの細かな構造までしっかり撮影できるようです。
顕微鏡モードが搭載される以前のデジカメでは、マクロ撮影専用の外付けレンズが不可欠でした。
それが不要になるのは費用削減にもなりますね。
TG-6とハウジングのセット
TG-6用ハウジング単体
WEEFINE 口径52 mm
ワイドコンバージョンレンズ
イノン 口径52 mm
ワイドコンバージョンレンズ
(WEEFINEより画角が狭い)
(2) SONY Cyber-shot RX100V、Ⅳ、Ⅲ、Ⅱ
特徴
・TGシリーズより高画質カメラである
・Cyber-shotのレンズはZEISS製
・カメラ本体は高価だが、純正ハウジングや他アクセサリの価格は比較的安価
・カメラ本体を中古でお安く購入できればハウジングとセットで10万円ちょい
お薦め中古サイト(例:RX100V) https://www.mapcamera.com/search?keyword=Cyber-shot%20DSC-RX100M5A&igngkeyword=1
Cyber-shotを使用されている方はたまにお見かけします。やはりセンサーサイズがTGと比べて大きいこともあり綺麗な写真に仕上がる印象を受けます。
もちろんこれほどの性能であれば陸の撮影でも広く使えると思いますので、水陸両用で活躍してくれそうですね。
ハウジングのレンズ部分の口径が67 mmなので、ワイドレンズもマクロレンズもそのまま装着可能なものが各社から販売されています。
余談ですが、レンズがZEISS製というのも個人的にはポイントが高いです。
私自身前職で顕微鏡を使う業務も多かったのですが、ZEISSのレンズは高級品というイメージでワクワクします。
RX100V本体(新品)
ハウジング MPK-URX100A
口径67 mm
ワイドコンバージョンレンズ
ワイドレンズ
UWL-95 C24 M67 Type1
(Type1がSONY純正ハウジング専用)
ドームレンズユニットIII A
(UWL-95 C24に取り付けると、さらに画角が広がる)
(3) CANON Power Shot G7 X Mark II
特徴
・上記のCyber-shotと同程度のセンサーのため高画質の写真が期待できます。
・生産終了しているようなので購入はお早めに。中古で6万ほど、新品でも7万円ほど
(MAPCAMERAの中古 https://www.mapcamera.com/search?keyword=PowerShot+G7X+Mark+II)
・ハウジングが3万円程度なので、カメラとセットで10万円ほど
・純正ハウジングのレンズ部分が特徴的な形状をしている。
外付けのワイドコンバージョンレンズやマクロレンズを取り付ける場合、専用アダプターを取り付けることで使用可能になるそうです。
([ INON ] LDレンズアダプターベースDC54/55 https://ec.mic21.com/shop/g/g1502021010/)
適合するワンドレンズがかなり大きいようです。ダイビングの荷物がかなり嵩張りそうなイメージです。
ですが、以前知り合いがPowerShotを使用していて、ワイドレンズやマクロレンズがなくとも素敵な写真を撮っていた記憶があります。
おそらく、CANON特有のマゼンタや色の鮮やかさが水中でもかなり威力を発揮するのだろうと予想しています。(この辺は正確な情報ではなく、個人の推測です)
もし、元々カメラ本体を持っている、という方ならハウジングもあまり高くないので水中撮影のエントリーとしては十分すぎるのでは、と思います。
人とは違った雰囲気の作品が撮れそうな予感のする組み合わせかな、とは感じています。
Power Shot G7 X Mark II本体
ハウジング WP-DC55
ドームレンズ(UWL-S100 ZM80に取り付けて使用する)
(4) CANON Power Shot G1 X Mark II
特徴
・Power Shot G7 X Mark IIやCyber shot RX100Vよりもはるかに大きな性能センサーを搭載しているので、かなり高画質の写真が期待できます。
・カメラが新品で7~8万、中古なら5万、ハウジングが3~4万円なのでセットで8~12万円
レンズ交換式カメラであるオリンパスのOM-D1よりもセンサーが大きいらしいということには驚愕ですね。
・市販のハウジングのレンズ部分がこちらも特殊な形状です。
2022年8月現在、取り付けられるアダプターが販売されていないようですので、外付けのコンバージョンレンズは使用できない可能性があります。
ワイドレンズやマクロレンズと取り付けられないとなると、写真表現の幅がかなり制限されます。元々こちらのカメラ本体を日常使いしていて、物は試しに、という程度ならハウジングを購入して使ってみてもいいかもしれませんね。
使ってみて、もっといろんな写真を撮りたいと思った時に別のカメラを購入してもいいのかな、と思いました。
ハウジングWP-DC56
カメラのモニター会に参加してみる
あまり多くはないのですが、稀に水中機材メーカーがモニター会をしていることがあるので、その機会に気になる商品を試してみるのも、いいかもしれません。
秋に伊豆海洋公園でOlympusさんのモニター会が開催されたりするのは聞きますね。
串本でもモニター会があるようです。
あとは、毎年春に東京や大阪でダイビングイベントがあるので、そういったイベントブースを利用してみるのもいいでしょう。メーカーの方に直接説明してもらうのも機材について理解が深まるはずです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。これから水中撮影を始めたいと思う方にとって役立つ情報であれば嬉しいです。
今回調べてみて分かったことは水中写真を始めるために必要な費用として7〜10万ほどが必要の製品が多いことがわかりました。
ずいぶん高くなったな…というのが個人的な感想です。
CANONのIXYを使用していた遥か昔、たしか4万円くらいでカメラとハウジングが揃ったような記憶があります。デフレだ、と言われる日本の市場ではありますが、カメラ界隈はどんどん値上げが進んでいますね。
実はこの記事を書く前まで、新品を購入して長く使い続けるなら、TGシリーズが断然オススメですって書こうと思っていたのですが、調べていくうちに、SONYさんのCyberShotにすごく興味が湧きました。
初期費用TGとCybershotでは差は1万円ほどです。その差額で、センサーも大きく、ZEISSのレンズが搭載されているCybershotはお得すぎると思います。
どんな絵が撮れるのかワクワクドキドキしています。(買ったわけでもないのに、笑)
それでは、また!
PADI Divemaster #832577 ダイビング✖️写真✖️旅 = 世界の海・自然と人と人と社会を繋ぐ 言語・距離・文化の壁、全部越えて、 もっと自由に、もっと楽しく、 興奮と感動と癒しの海への扉となることを目指します。
寒冷地用のフードについて動画解説お願いします。
会話や声がこもるのは判ってますが、実際着用感とかどんな感じなのか?あえて着用しての会話や長所、短所などが知りたくコメントしました。
フルフェイスフードのことでしょうか?耳が塞がって聞こえにくい上に口も開けにくいのでほぼ会話は成立しないと思った方がいいですね😅長所は肌が水に露出しないのでクラゲに刺されませんし、暖かいです。短所は、慣れるまでは圧迫感、マスクが水没しやすい、耳抜きしにくいなどがありますが、慣れれば問題ないですよ^^